モトハシさんの手は
とても大きい。
とても とても大きい。
そこらのヤツとは比べ物にならないくらい ホントに大きい。
既成の手袋も入らないほど
ホントにホントに大きい。
モトハシさんの手。
これは、ひみつなんだけど
なるべく ひみつなんだけど。
モトハシさんの手は
彼の意思によって
木樹のように 更に なを 更に 伸びるのだ。
ひみつ。
なるべく ひみつ。
モトハシさんは
このひみつをとても紳士に扱う。
もちろん
ひみつを利用して
誰かを貶めたり、悪戯したり。
しない。
そして
ひみつを利用して
誰かを助けたり、愛されようとしたりも。
絶対、しない。
ひみつを使うのは
モトハシさんが一人きりの時だけ。
それは、例えば
遠くにあるプチトマトを取ったり
お風呂場で入れ忘れた詰替え用のシャンプーに気付いたり
ヤカンで煮出したお茶の火を止めたり
そういう時だけ。
ひみつを恥とも誇りともしない。
モトハシさんに寄り添うひみつと
ひみつを許すモトハシさん。
とても いい関係。
ひみつだよ。
これは、なるべく ひみつにしてね。
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とにかく
まずは
まずは一息つかねば。
この一息が重要なのだ。
願いは叶わなくても
願いが忘れられても
まずは
まずは一息つかねば。
そうして、
もしも
もしも願いが叶ったら
散々
自分を褒めよう。